愛無き社会の回復(伝道所掲示板より 2019年6月1日)


 イエスは、友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない。

                           (ヨハネによる福音書15章13節)


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内村鑑三の弟子にあたる三谷隆正の次の言葉に学びたいと思います。

 

「げに愛への第一歩は、を棄てることである。人と人との愛を妨ぐるものにして、そののごときはない。汝もし他を愛せんとするか。しからば先ず四方より汝を防備するところの、そのれという牆壁(しょうへき)(隔てるもの)を倒せ。しかる後汝は初めて、愛をもって他に近づくことをえよう。かくして愛の第一歩は、己が防備を撤することである。他国が汲々として軍備に忙殺されつつある時に、自国のみが敢えてその軍備を全廃することである。それは甚だ危険なことであるかも知れない。しかし敢えてこの危険を冒すことが愛である。この冒険を回避して、袖手しつつわがうちに愛の成るを待つがごときは、正に百年河(か)清(せい)を待つ(あてのないことを空しく待つたとえ)の類である。」(三谷隆正「信仰の論理」(1926年)より)

 

主イエスは隣人のために「自分の命を捨てよ」と言われました。命を捨てることは私を捨てることです。ここにこそ真の愛は成就いたします。今日の愛無き社会はさまざまな悲惨な問題を生み出します。私たちが一人ひとりが隣人に命を捨てる思いで接する事。今日の愛無き社会の回復は、その一点にかかっていると信じます。
                                 ( 2019年6月1日)

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