神が愛している多くのものは、教会の外にある(2021年8月)


 

  シモーヌ・ヴェイユ(1909-1943)というフランス人の女性をご存じだろうか。抑圧されてる者たちに心と身を寄せて、社会・人間に対する深い洞察とキリストの愛の全うの末に、34歳で、苦しむフランス人のために食を絶ち死んだ、信仰の人である。彼女は生涯洗礼を受けずに、教会の外の抑圧された人々を愛した。彼女は無教会人以上の無教会人であった。無教会は内村鑑三という特定の人物に象徴されるものではないことを知ることができる。私たちはそこに生きたく願う。以下はヴェイユの文章である。

「神はわたしが教会に入ることを少なくともいまのことろ望んでいません。・・・・ですが、わたしの目には、キリスト教は道理の上では普遍的ですが、実際はそうではありません。多くのものが教会の外にあります。わたしが愛し、捨て去るのを望まない多くのものが、神が愛している多くのものが、教会の外にあります。というのも、もしそうでな、ければ、こうした多くのものが現に存在しているということはなかったでしょう。・・・・キリスト教は道理の上では普遍的であるのに、実際はそうでないとすると、道理の上で私は教会の一員であっても、実際にはそうではありません。そしてそれは、一時のあいだだけではなく、わたしの全生涯においてそうなのです。」

(シモーヌ・ヴェイユ著・今村純子訳『神を待ちのぞむ』河出書房新社116-117頁)